選ばれる」ブランドになるために

歴史ある里山、大田原市・須賀川地区。オーガニックをキーワードにこの地の恵みを未来に継承する取り組みの一貫 として、新たなブランドの制作に着手しました。ここで考えたかったのは、ブランドのマークやネーミングに、どの ような狙いを託すかということ。私たちには「耕作放棄地を資源に変え、地域の儲ける力を強化する」といった強い 想いがあります。その一方で、想いを正面からぶつけるだけでは響かない。ブランドを継続的に育むためには、消費 者に興味をもたれ、選ばれることにも配慮しなければいけない…そう思ったのです。

 

 

人びとは「ストーリー」を消費する

日本全国を見わたせば、各所でさまざまなブランドが新たに誕生しています。マークやパッケージなど、どの地域も 現代的に洗練されたものばかりです。しかしこれは逆に、どこも同じように見えてしまって特徴が際立たないとも言 えます。洗練されたデザインだけでは埋没してしまい、奇をてらったネーミングだけではその地域らしさが表現でき ません。私たちの想いを私たち自身が自覚しながら、消費者に選ばれるためにはどうすればいいのか。そこでこの    大田原の地に、消費者が興味を持ちそうな事実を見出し、「ストーリー」として提示することを考えたのです。

 

 

「なぜ?」をつくる

私たちが着目したのは、松尾芭蕉が大田原に長期間滞在したというエピソードでした。大田原に長期滞在した後、「お くの細道」を完成させた事実をもとに、大田原での休息があったからこそ、偉業を実現できたのではないかというス トーリーを仕立てたのです。もちろん、滞在理由はわかりませんし、おくの細道とは関係ないかもしれません。しかし、 仮説だからこそ「問い」をつくることができる。誰もが知る松尾芭蕉を題材に、「くつろぎ」が「クリエイティブワーク」 の源泉になったのでは?という視点は、特産品をおすすめしたい消費者への新しいメッセージになると考えました。

 

 

 

ブランドネーム

消費者が得るのは「くつろぎ」

前述のように、消費者視点のストーリーから「大田原の休息」というブランドネームを考えました。特産品全体を包 含するネーミングとして、「〜茶」など具体的な食の種類に特定できない都合がありましたが、それを逆手にとり、 消費者にはこのブランドから「くつろぎ」や「リフレッシュ」が得られる印象を、そして私たち自身には「もてなし」 や「心遣い」を提供する意識づけを促す効果を狙いました。また「大田原」「休息」というわかりやすい言葉を用い ながら、2 つの語を組み合わせることで、「五十の恵み」や「しじみ習慣」のように記憶に残す狙いも込めています。

 

 

 

ブランドマーク

私たちの取り組みと想いの象徴として

ブランドマークは、農業を類推させる葉と、ふりそそぐ太陽をモチーフにデザインしました。双葉のような二つの葉 の中央に太陽を配したその形は、大切なものを包み支えるようでもあり、それは自然の恵みを生かし地域の復興を目 指す私たちの姿勢にも重ねることができます。なお、マークとしての基本である丸型をベースにしながら、家紋のよ うなシンプルでミニマルな図柄にすることで、縦組み・横組みなど他の要素と組み合わせた場合や、単体・反転での 活用など、さまざまなシーンや媒体で高い汎用性を確保できることも考慮しました。

 

 

ブランドキャラクター

想像をかき立てる存在

前述のように仕立てたストーリーに基づき、ブランドキャラクターとして松尾芭蕉を思わせる人物を描きました。基 本形をあえて後ろ姿にすることによって、これからおくの細道に向かう旅の途中であること、また、表情を隠すこと によって見る人の想像をかき立てる効果を狙いました。ブランドをキャラクター化することで、たとえば商品の特徴 や使用機会に合わせてポーズを変えたり、POP 上でしゃべらせるなど、今後、商品展開や販促を行っていくうえで、 フレキシブルに活用できることを想定しました。